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zoom RSS 『電気ちゃん』 楠章子 (作)  毎日新聞社

<<   作成日時 : 2013/11/04 09:42   >>

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電気ちゃん
毎日新聞社
楠 章子

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楠章子さんの初の一般書です。
楠さんの作品はこれまで幾つか読ませていただいていた。
そのどれもが、繊細な心を包み込むような愛が描かれていたと思う。
『電気ちゃん』への皆様のコメントや感想を少し読んで、なんとなく、怖い気持ちになった。
なぜ怖いかと言うと、自分の娘の事が重なってしまいそうな気がしたからだ。(笑)
でも、だからこそ、読みたいと思った。

様々な事情で生きる登場人物たち。
決して人に言える話でもなく、また言いたいとも思わない。
特に女性の視点で描かれた物語には、衝撃を受けた。
やっぱり、そうだったのか……。
今でこそ言えるのですが、男って、本当に弱くお馬鹿な生き物だと思う。もちろん、自分や周りの男達を見てそう思うだが……。

電気ちゃんは、一般的に見てダメな男だ。
世の女性がみたら、100人中98人がそう言うだろう。
でも、彼には魅力がある。自分の事を分かっているがゆえに、決して正論を言わない。
大切な人に厳しい言葉を突きつけることはしないのだ。
大切な人に「だからこそ、あえて厳しく言う」は、間違いでない。むしろ「嫌われてもいいから言う」くらいの覚悟もいる。
しかし、それはまだまだ立ち上がって行ける人にする行為かもしれない。

鳥子は必死で生きようともがいている。
また、家族もそれを支えようと必死なのだ。
しかし、鳥子のどうにもならない呪いのような異変は消え去ってはくれない。
そんな時にであったのが電気ちゃんだった。

二人の出会いはとても自然で運命的だ。
きっと、人と人の出会いはこうだと思う。
僕は男性だが、鳥子の思いはしっかりと感じることができる。
そして、僕はふと気がついてしまった。
この、ダメ男を代表するような電気ちゃんをどこか憎めなかったのだ。
なぜか? 
電気ちゃんは自分の中にも存在していると思ったから。
その場しのぎで、やる気がなくて、生きるための最低限のことしかしない。世の中の事などどうでもよく、自分さえよければそれでいい。と生きている。いや、別に生きることにこだわっては居ないのかも知れない。

僕の中にそんな自分が居ることは分かっていた。
だからこそ、「それではいけない!」と奮い立たせてやっと生きている。
僕もこんな経験があったからだ。
中学の時原因不明の熱が出た事があった。一ヶ月ほど学校を休んだ。
検査をしてもどこも悪くはない。でも、40度近くの熱が毎日続いていた。
食欲もなく、無理して食べては吐いた。
気分がいいときは、外を眺めた。この時間がいつまでも続けばいいと思えた。
家族も学校も新聞配達も友達との事も、日々の全てが嫌だった。
意識を無くして倒れた時には、もう死んでもいいとさえ思った。
僕をとりまく、義務に押しつぶされそうになっていたと今は思う。
まだ、中学生だったからこうして、立ち直れた気がする。

電気ちゃんのそれまでの生き様は描かれていないが、僕の中の深く深く押し込めていた自分に出会ったような気がした。

電気ちゃんから始まる五つの章の全ての作品は、どれもただの小説だとは思えない。
きっと、誰かの心のパズルに収まるピースがあると思う。
大人の読む物語なので、それなりの描写ももちろんある。
でも、なぜか読後感は爽やかだった。
様々な人の愛が風のように僕の中を吹き抜けて行く感じだった。
人を愛するとは、愛されるとはこうなのだ。その愛のカケラを抱いて人は生きていくんだと感じた。





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